■初診印象

 次いで入院のための血液検査と心電図検査を行った。
 こちらもてきぱきと進んでいく。
 すぐに終わって会計に戻ると、何と会計はすんでいた。

 会計がすんでいる? 
 待つために座りかけた私は、一瞬耳を疑った。
 病院の会計とは、待つことが"常識"ではなかったか? 

 しかし、終わっていたのである。
 むしろ、こちらの到着を待ち受けていたようだった。これまた、これまでの私の中の"病院"の常識を覆すものであった。



 その足で薬局へ。検査の時と同じく、薬局でもまた、私一人である。
 あれだけ待合いにいた人たち、そして今もいる人たちは、一体?…
 ともあれ、薬局で丁寧に薬の説明を受け、そして、これで終わりだった。

 ほぼ1日掛かりになることを想定していた私にとって、このスピードはきつねにつままれたような気分だった。



 病院のドアを開けて眩しい陽光の下に立ったとき、何かのビジネスの打ち合わせに来たような気分がしてならなかった。
 なぜだろう。
 なぜ、"ビジネスの打ち合わせ"という感覚を持ったのか。

 環境的工夫もあった。
 しかし、最終的には接した"人"であると思った。

 看護婦、入院コーディネーター、検査技師や薬剤師、会計や受付の女性達、それぞれのジョブディスクリプションが明確で、それぞれのジョブに応じたユニフォームを着、それぞれが自分の職務をきっちりと遂行していたからであろう。
 仕事をスピーディーにするための基本がしっかりしている。
 そして、それらが有機的につながっている。



 さらに素晴らしいのは、彼ら全員がホスピタリティ(もてなしの心)をもっていたことである。

 企業人には、CS(カスタマー・サティスファクション)が徹底されていた、といった方が分かりやすいかもしれない。
 簡単に言えば、フレンドリーで明るくさっぱりした雰囲気を持っていた。

 つまり、組織が全体として効果的に機能していること、それら機能をになっている個々人がある種ビジネスライクに、しかしCSマインドをもってきびきびと動いていること。
 これら全体の印象が、私に「病院に来た」というよりも、「ビジネスの打合せに来た」という印象を抱かせた根拠であろうと思った。



 これなら、次に人間ドックに来てもいいな、と感じた。
 病院に対して、誰もリピーターになろうなどとは普通は思わないだろう。
 できれば避けて通りたいところだ。

 が、医療費抑制もあり、これから予防思想が定着するにつれ、定期的にドックを受けるということも個人のライフスケジュールの中に入ってくるのではないだろうか。

 そうなると、病院にとっても、ディズニーランドではないが、リピーターの確保というのは重要な施策になるはずである。



 帰宅して改めてパンフレットを見る。
 なるほど。院長の"ごあいさつ" に尽くされていた。
 院長のポリシーが見事経営に実践されていたのである。

 組織はトップ次第である。

 ポリシーを持ち、ビジョンを示すことが出来れば、病院でもこれだけ効率の良い"経営"ができることを、この病院は示していると思う。

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