部屋に戻ってまもなく、呼び出しがあった。 剃毛だ。 昔は前の毛まで剃った時代もあったようだが、今はそれこそ肛門の周囲のみである。 会話しながら手早く処置が済む。 3時過ぎにまた呼び出しがあり、外来の診察室で医師による診察を受けた。 明日手術を受ける対象者の状況を把握し、順番を決めるのだそうだ。 あとで連絡があり、大腸検査は午後1:00、手術は午後3:30となった。 6:00。待ちに待った夕食である。 …風呂上りに家族に報告した。 「夕食は、まずスープが出たよ」 「へえー」 「ただし具なしだけどね。それにオレンジジュースだ」 「両方とも、液体じゃない」 「いや、もう一つあるんだ」 「何?」(興味津々) 「コーヒーだ」 電話の向こうは大爆笑である。 そして「なるほどね」という。 「何が?」 オレンジは下痢のときに食べるなといわれるくらいの果物だ。 オレンジは便を出し、コーヒーには利尿作用があるということらしい。 この変な組み合わせには、合理的な意味があったのだ。 看護婦から「元看護婦だったの?」と尋ねられたくらいの女房である。 この辺のことは詳しい。 食堂で話が弾んだので、7:30ころにあわてて風呂に入りに行った。 7:00から8:00までが2回目の男性タイムのリミットである。 これは噂にたがわぬ豪華な風呂だった。 風呂場の横にはゆったりしたソファーの談話室があり、ここだけ見るとまるで温泉宿である。 9:00消灯。 隣の人はTVを見ている様子。 イヤホンなので音は聞こえないが、カーテンにいろんな色が踊っている。 寝しなは少々肌寒く、夏用の寝巻きの上にTシャツを着込んだ(尚、あとで分かったが、エアコンは各部屋ごとに調整できるようになっている。 退院前夜まで、調節できることを知らない方もいた。 エアコンの説明も事前にあるとありがたい。 覚えていないが、何度か夢を見、そのたびに目が覚めた。 看護婦も1度見回りに来、同室の方も時折トイレに立ったりしていたようだ。 |