■いよいよまな板の上

 そして待つこと2時間あまり。
 手術を行うのでベッドで待機するようアナウンスがあった。
 予定より1時間以上も早い。

 そのことをナースに言うと、
「先生ですから」。

 ナースも信頼していることが分かる力強い答えだ。
 こちらもはなからまな板の上の鯉のごとく、何の不安もない。



 鮮やかにスムーズにベッドから台車へ身柄を移され、
 廊下をあちらへ曲がりこちらへ曲がり、
 エレベーターに乗り、
 まるで映画のワンシーン。

 そして、手術室に入り、あのUFOのようなライトを真上に見たとき、
「おお手術室だ」
 と実感した。



 背中をぎゅっと丸められて、背骨に麻酔の注射をされる。
「俺は痛くて、やめてくれ、と叫んだよ」
 という人もいたが、ちくっと感じたくらいだった。

 間もなく下半身がじわーっと温かくなってくる。
 しびれてくるのがわかった。

 腹ばいに寝かせられ、右人差し指から心電図。
 左腕には血圧の測定装置を巻かれた。



 先生が、「アテローマ(脂肪腫)もとりましょう」という。
 これは、尾てい骨のすぐ上にぶよぶよとした脂肪の塊があるのだが、だんだんと育ってきて実は仰向けに寝るのも寝辛くなっていた。

 そこで昨日の別の医師による事前診断時に、ついでにとってほしいと、お願いしてみたのだ。しかし、場所が場所だけに神経とつながっている可能性もあるため、今回は痔だけにしておきましょうという話だったのだが、とってもらえるなら、それに越したことはない。



 先に脂肪腫の除去が行われた。
 電気メスで肉を焼くこげたにおいがする。

 まもなく手のひらがにゅっと突き出されて、目の前に白い脂肪の塊が見えた。
 長径6cmの出来損ないのゆで卵、あるいは崩れたメレンゲのようだ。
 結構大きかった。

 これで、
「パパには尻尾の名残があるんだぞ」
 と子どもたちに自慢していた(笑)ものがなくなると思うとちと淋しいが、

「これはほうっておくと、そのうち化膿していたよ」
 といわれ、心底よかったと思った。



 次に、いよいよ痔に取り掛かる。
 見事に上半身は覚醒しているので、よく聞こえるのだが、お尻は感覚がないので何をされているのかさっぱりである。
 終わって、4つ5つの肉の塊を見せてくれた。

 いろいろと説明してくれ、
「今日は大サービス!」
 といって 終了。

大サービスありがとうございました!

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