そして待つこと2時間あまり。 手術を行うのでベッドで待機するようアナウンスがあった。 予定より1時間以上も早い。 そのことをナースに言うと、 「先生ですから」。 ナースも信頼していることが分かる力強い答えだ。 こちらもはなからまな板の上の鯉のごとく、何の不安もない。 鮮やかにスムーズにベッドから台車へ身柄を移され、 廊下をあちらへ曲がりこちらへ曲がり、 エレベーターに乗り、 まるで映画のワンシーン。 そして、手術室に入り、あのUFOのようなライトを真上に見たとき、 「おお手術室だ」 と実感した。 背中をぎゅっと丸められて、背骨に麻酔の注射をされる。 「俺は痛くて、やめてくれ、と叫んだよ」 という人もいたが、ちくっと感じたくらいだった。 間もなく下半身がじわーっと温かくなってくる。 しびれてくるのがわかった。 腹ばいに寝かせられ、右人差し指から心電図。 左腕には血圧の測定装置を巻かれた。 先生が、「アテローマ(脂肪腫)もとりましょう」という。 これは、尾てい骨のすぐ上にぶよぶよとした脂肪の塊があるのだが、だんだんと育ってきて実は仰向けに寝るのも寝辛くなっていた。 そこで昨日の別の医師による事前診断時に、ついでにとってほしいと、お願いしてみたのだ。しかし、場所が場所だけに神経とつながっている可能性もあるため、今回は痔だけにしておきましょうという話だったのだが、とってもらえるなら、それに越したことはない。 先に脂肪腫の除去が行われた。 電気メスで肉を焼くこげたにおいがする。 まもなく手のひらがにゅっと突き出されて、目の前に白い脂肪の塊が見えた。 長径6cmの出来損ないのゆで卵、あるいは崩れたメレンゲのようだ。 結構大きかった。 これで、 「パパには尻尾の名残があるんだぞ」 と子どもたちに自慢していた(笑)ものがなくなると思うとちと淋しいが、 「これはほうっておくと、そのうち化膿していたよ」 といわれ、心底よかったと思った。 次に、いよいよ痔に取り掛かる。 見事に上半身は覚醒しているので、よく聞こえるのだが、お尻は感覚がないので何をされているのかさっぱりである。 終わって、4つ5つの肉の塊を見せてくれた。 いろいろと説明してくれ、 「今日は大サービス!」 といって 終了。 大サービスありがとうございました! |