■「総合病院vs専門病院」A

 大学生のW君は、39度の熱と下腹の痛みを抱えて総合病院に行った。
 何しろ名だたる大学のメディカルセンターである。

 まず、内科を受診。
 痔の話もしたが、外から見ても切れ痔があるわけではなく内科医にはわからない。
 外科にでもリファー(紹介)してくれればよいものを、それをしない。
 ならば、総合病院の意味がないではないか。

 ともあれ座薬の鎮痛剤をさしこまれ、これが触ったらしい。
 帰りは一歩歩くごとに激痛が走り、そろりと踏み出してはしばらく立ち止まり、ということを繰り返して、病院から自宅までのわずか200mに1時間かかったという。



 ようやくたどり着いた時は、運悪く両親はご不幸があったために家を空けることになった。指一本動かしても激痛が走るT君は、両親のいない中、身動きもできずに寝ているしかなかった。

 かろうじて、痛み止めを3回分まとめて飲んだときに少し和らぎ、その寸隙を縫って這って水を補給に行き、薬をいつでも飲めるように、プチプチプチ、とパッケージから出すだけ出した。痛みの激しいときは、このプチすらできないのだという。

 それからは、痛みと熱で、記憶が途切れ途切れになる。
 いったい今がいつか時間も定かではない。



「人間も泡を含んですねえ」
 という。

 漫画では見たことがあるが、気づくと自分の口の端に泡が吹いていたという。
 どうやら、痛みで失神していたらしい。



 …さて、帰ってきた両親が見たのは、台所で突っ伏して倒れているT君と、その周りに散乱している薬である。
 発見されて始めてT君は、3日経っていたことが判ったという。



 さて、激痛の元は痔ろうの膿であった。
 それが何の拍子か破裂し、膿が流れ出た。
 パンツの中に両手一杯(!)ほどの膿がたまったという。
 その瞬間、激痛は去り、何と両腕も体も動くようになった。

 そこで、彼は猛然とインターネットで原因を調べた。
 そして、予想だにしなかった痔ろうであるらしい、ということがわかった。



 今度は同センターの外科に行った。
 小さく、「肛門」とも書いてあったからだ。

 行くとすぐ、膿が出きっていないというので執刀されることになる。
 肛門にいきなり直接の注射。
 飛び上がるように痛い。

 そして、麻酔が効き始める前に何とメスを入れられた(!!)。

 目の前の鉄棒を片手で握り締め、もう片方の手でバンバン叩いて
「痛い!痛い!!」と訴える。

 その後ようやく効いてきたが、その痛みが抜けなかったという。
 その後も4日ほど唸っていたらしい。

 こういう苦労の末、もう総合病院はいやだということで、彼は再びインターネットで前門病院を探し、ここを探り当てたというわけだ。



 辛い思いをしたものだ。
 ここならば、まずその日に切って膿を出すという1泊の応急処置をしておき、後日再入院して本格治療というコースで、痛みもなくスムーズに進んだことであろう。

【戻る】



  TOP 痔とは? 会社対策 病院探し 入院前 入院者諸相 手術前 手術百景 手術後 退院後 LINK


5日目
戻る 続きへ
インターネット
入院費用
専門vs総合@
専門vs総合A
専門vs総合B