■院長による勉強会

 2F喫茶ラウンジでパワーポイントを用いた院長による勉強会が開催された。
 およそ50人はいたであろうか。
 今日手術して寝ている人や、顔を見せていない人も含めると、80名くらいの入院者がいるとのこと。
 説明は、ざっくばらん、リアルでかつ面白い。

 この病院が、かなりの難痔も処置していることがわかる。
 そして、これほどの腕がある病院は全国に5つしかないという。
「内視鏡重視」、「肛門の復元重視」、しっかりした技術(腕)に支えられて、ポリシーも明確である。



 
大腸癌は、ポリープから移行するものもあるが、最初から癌 として発生するものに扁平癌がある。
 これは、内視鏡でしか見 つからない。
 特にこの癌に関しては、便検査は何の役にも立た ないので、人間ドックを受けるときも、内視鏡検査のできる病 院を探すことが大切だ。
 ただし、使えるといってもテクニック がいるので、大勢の患者を診たことのある技術の高い病院を選 ぶ必要がある。



 
肛門は、2重の括約筋と、肉のクッション、および血管のク ッションという3重4重の働きによって、その微妙な機能が保 たれている。
 そのため、患部を周囲も含めてゴソッと切るので はなく、患部のみを削りとって、なるべくもとの形に復元する、 という姿勢が貫かれている。
 
ほかの病院で切られ、失われた機能を回復するために括約筋復活手術も行うそうだが、なかなか元の様には行かないという。



 
痔ろうの形態はさまざまだ。
 穴は体内を巡ってさまざまな部 位から出てくる。
 肝心なことはその原発巣をたたくことだが、 経験が浅いと、なかなかその原発を探り当てることができない。
 ほかの部分を一生懸命治療しても意味がないわけだ。

 中には、体内にもぐりこんで行く痔ろうもある。
 これなど、
表面から見てもなんともなく、おなかが痛いだけに見える。
 ある人が、病院めぐりした挙句ここにたどり着いたとき、
「抗つ薬」まで処方されていたという。いわば、"気のせい"にされていたのだ。ひどい話である。
 
奥に入り込んだ痔ろうの怖いのは、長年ほうっておくと癌化するということだ。



 
便秘薬は危険なことがわかった。
 ある女性は、
コーラ ックを5粒飲まないと便が出ないと信じ込んでいた。
 そこで実 験をしてみると、飲まなくても腸はちゃんと機能していた。

 怖いのは、
下剤は宿便を取り除けないということだ。
 悪さをするのは、この宿便なのである。
 そして、それを取り除くのは、繊維質の多い食べ物だ。

 肝心なことは歯ごたえのあるものを食べ、便意を催したら、我慢せずにすぐにトイレに行くこと。我慢して出さなければ、便意を伝える信号は空振りをしてしまうことになり、それが続くと、その神経そのものが怠けるようになってくる。つまり、便意を感じなくなってくるわけだ。
 食べたら出すというリズムが大事である。



 つくづく思ったのは、
早期発見早期治療に勝るものはないということだ。
 軽い処置ですむことが、放っておいたばかりに重くなってしまう。
 場合によっては取り返しのつかないことになる。
 手に負えなくなってから行ってもだめなのだ。

 逆に
軽いうちに行けば、ほとんど肛門の機能を失わないですむ。
 "面倒くさい"は天敵である。




 これを避けるためには、定期健診をライフスケジュールの中に入れるしかないと感じた。女房にも、1泊の人間ドックに来てもらおう。同じドックなら、内視鏡検査の腕があるここがよい。

 1時間に及ぶ勉強会は、積極的な患者からの質問と拍手で終わった。
 1週間フル稼働であろう。
 今日も手術があったことと思う。
 その締めくくりに、この勉強会。
 頭が下がる思いである。

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6日目
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