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【詳細は→「子育て心理学 第2部人生脚本編」】
1.「人生の基本的立場」の生成 このような生きる姿勢の違いは、どのようにもたらされるのでしょうか。 生まれたばかりの赤ちゃんにとって第一義的な環境は、「母親という環境」です。左記を見ると、生後わずか数ヶ月の内に母親次第で生きる姿勢(「人生の基本的立場」)が大きく異なり始めていることが分かります。 2.「自己概念」の形成 この幼児は母親との関係から「I,m not OK」(私はダメ、受け入れられていない)という「人生の基本的立場」を身につけ、無表情になることで母親以外の人間からもストロークを得にくくなり、それにより例えば「自分は鈍い人間だ(←無感動)」とか「自分は嫌われ者だ」などの自己イメージを形成していきます。 この自分が思う自分のイメージのことを「自己概念」と言います。 3.「自己概念の循環効果」による強化 自己概念は、自分の思考や行動を規定する枠組みの役割を果たします。全ての現象をその枠組みの中で解釈してしまうのです。言い換えれば、『自己概念は、それに合うものしか受け入れないという選択効果を持つ』とも言えます。 例えば「自分は嫌われ者だ」という自己概念は疑心暗鬼を生み、「読心」などの「自動思考」によってますます自己概念を強化していきます。これを「自己概念の循環効果」と言います。 4.親の接し方による自己概念の強化 この自己概念は、躾などを通じて親からも強化されます。 例えば「自分は嫌われ者だ」という自己概念により内気で引っ込み思案になり、母親が他の子供と比較して「おまえが○○だったらよかったのにねぇ」などと言ったとします。 すると、言われた子供は「おまえ自身であるな」という「禁止令」を受けたことになり、ますます「自分はダメ、受け入れられていない、嫌われ者」という自己概念が強化されるのです。 さらに父親が、その内向性に不満を持ち、それを直そうと無理やりスポーツをやらせるなど、常に言葉、表情、態度で叱咤し続けたとします。 これは「今のおまえ自身であってはいけない」という禁止令であると同時に、常に監視し、「努力せよ」というメッセージを持った「ドライバー」でもあります。 (これは「努力せよ。すれば生存してよい」と解釈できます。 これは、「存在するな」という禁止令を条件をつけて反故にするところから「拮抗禁止令」とも呼びます) 5.人生脚本の完成 こうして育つとどうなるでしょう。 「自分は、そのままではダメな人間だ。常に何か努力しなければならない。でも、やっぱりダメなんだ」 と思うようになります。 こうして、いつも何かに追い立てられるように忙しくしながらも、何をやってもダメだ、という人生脚本を生きるようになります。 拙著「あきらめの壁をぶち破った人々」の中にも、社会的には成功しながらも、常に心に渇望を抱え、ゆっくりと安らぐことのできない青年が登場します。 自分を縛っている「人生脚本」に気づくことが、本当の自分の人生を生きるスタートになります。 「自分への弔辞」を書く事は、自分の人生脚本に気づき、そしてそれを書き換えるきっかけとなるでしょう。 |
【4つの「人生の基本的立場」】 1. I,m OK. You,re OK. 互いを認める 2. I,m OK. You,re not OK. 人のせい(自分は悪くない) 3. I,m not OK. You,re OK. 自分はダメ 4. I,m not OK. You,re not OK. 人生自体が無意味 親からどう育てられたか、TAの言葉で言えば、どのような「ストローク」をもらって育ったかによって、人生に対する基本姿勢が次の4つに分かれます。 |
【11の「禁止令」】 1.存在するな 「おまえさえいなければ」、虐待 2.重要であるな 「大人の会話に口を挟むな」 3.楽しむな 「弟妹の面倒を見ろ」「礼儀正しくしろ」(対長男長女) 4.大人になるな 「かわいい、かわいい」(対末っ子) 5.感じるな 「男は歯を見せて笑うもんじゃない」「泣くな」 6.考えるな 「理屈を言うな」「おまえは○○だけ考えていろ」 7.成功するな 何をやっても常に批判される場合 8.おまえ自身であるな 「おまえが、○○だったら良かったのにねぇ」 9.健康であるな 病気の時だけ気遣ってくれる場合 10.仲間を作るな 「塾があるんだから、遊ぶんじゃない」 11.…するな 何かやろうとする度に注意。 グールディング夫妻は、親の言動から子が受け取るメッセージの中で、人生に影響を与えるものを「禁止令」と呼び、11挙げています(現在は、「属するな」「欲しがるな」を加えて13)。 |
【5つの「ドライバー」】 1.完全であれ 「あなたは、そのままでいい」「あるがままでいい」 2.努力せよ 「疲れたら休んでいい」 3.急げ 「時間をかけていい」「ゆっくりやっていい」「自分のペースでいい」 4.喜ばせろ 「自分のことを考えて、自分を大事にしていい」 5.強くあれ 「強くなくてもいい」「もっと弱みを出して人に頼っていい」「オープンでいい」 テイビー・ケーラーは、親からのメッセージで子を“駆り立てるもの”を「ドライバー」と呼び、5つ挙げています。常に、親からこれらの命令を押し付けられている場合、子は「この命令を満たしたときは愛されるが、そうでなければ愛されない」という脅迫感を持ち、自分自身であるだけで無条件に愛されたという充足感を持つことができません。そのため、窮屈な人生を歩いてしまいます それから解放されるためには、上記のように自分を許すことが必要です。自分で言葉に出す。あるいは、日記などを書くときに必ず付記して自分を許してあげましょう。紙に書いて、それを貼って毎日眺めるのも良いと思います。 自分一人で効果が上がらないとき、やはり人に受け止めてもらい、そして許可を得ることが自分を取り戻すきっかけになります。この場合は、「3つのP」を持つカウンセラーに話を聞いてもらいましょう(下欄参照)。 |
【3つのP】 1.Permission (許可) 人生脚本を変えて良いという許可を与えること 2.Protection (保護、受容) 変化することに対する心理的支えを与えること 3.Potency (能力) いかなる事態が生じても、適切な対応ができること このような禁止令やドライバーから安全に解放されるには、カウンセラーに「3つのP」が必要です(by パット・クロスマン)。これらは本来、親が持つべき姿勢といえます。 |