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■モラ夫の妻が無力になるストレスの法則

【モラ夫の支配の方法】 【妻が服従していくメカニズム】 【無力になるストレスの法則】
A『ある日突然、帰宅後の夫に無視される』
“ある日突然”徹底支配のための戦略がスタートします。理由もなく、「いきなり無視」か「些細なことで鬼のように怒る」ことがあれば、先ず間違いなくモラです。
詳しくはこちらを↓
モラハラの構造(5):絶対服従を叩き込む
A優しかったはずの夫がいきなり変貌するわけですから、事態を飲み込めません。夫も疲れていたんだろうとか、何か気に障ることでもしたかしら、とか、あれこれ類推しますがわかりません。しかし、確実に気持ちは揺さぶられ、隙が生じています。
A妻は夫の行為が自分にとってどのくらいの脅威なのか推測し、判断がつかないままにストレスの程度は「無害」と評価しました(1次評価)。
B『友人と会って帰りが遅くなった日、夫は一人で料理を作っており妻を無視』
妻に非があるわけではありません。にもかかわらず、相手の後ろめたさにつけ込んで、ここぞとばかりに態度で責めて、「自責の念」を植え付けていきます。
B一度傍若無人を許せば2度目は過激になります。その過激さが、妻に「帰るのが遅くなって悪かった」と思わせてしまうのです。しかし、大人の付き合い、遅くなることだってあります。まだ、正常な判断が出来ている妻は「夫は子どもなのかな」と思いますが、嫌な思いまでしたくありません。自己規制するようになります。 B今度はストレスの程度を「脅威」と評価(1次評価)しました。そこで、どのように対応すればいいのか考え(2次評価) 、自己規制という「対処行動(コーピング)」をとることになります
C『ある晩、いきなりソファで寝ようとする』
妻に非があるわけではありません。干してほしければお願いすればいいだけのこと。にもかかわらず、それをせずにわざと相手を罵倒するのは何故か。相手に「自分は至らない人間だ」という思いを植え付けるためです。
C3度目は、相手が全く思いも寄らないことで怒ります。Bの時は、妻が遅くなったという(理由にもならない)理由がありましたが、Cになると、もはや一方的です。「理不尽」の度合いが強くなっています=支配度が強まっています。
さすがにこの仕打ちには耐えられません。妻は、夫を脅すつもりで実家に帰ります。
C今度は明確にストレスを感じましたので、ストレスの程度は「被害」です(1次評価)。そこで、将来にわたってそのストレスが起こることを避けることを考え(2次評価)、実家に帰る(脅す)という「対処行動(コーピング)」をとることになります
D『妻は実家に』
夫にとっては支配権を確立するチャンス到来です。脅しすかしに関して数段上手のハラッサーにとって、妻が脅しでやっていることは見え見えなのです。妻は「ごめんなさい」と謝ることになり、夫は、誰が主人かを見せつけます。妻と自分が対等ではないことを見せつけたわけです。
D支配者である夫は、奴隷である妻が逃げ出すなどこれぽっちも思っていません。本気で別れるつもりもない妻は、結局「やりすぎた」と反省し「ごめんなさい」と謝ることになります。結局、夫の理不尽さへの対応手段の結果が謝罪になったわけですから、妻の打つ手はどんどんなくなっていきます。
D「対処行動(コーピング)」がまったく無効であることを知ることになります。自分のとった行動に何の影響力もないことを思い知らされると、どのように対応するかということを考える(2次評価)能力が落ちてきます。
同時に、破局を避けるための防衛機制が発動します。夫が離婚届を用意したのは自分がやりすぎたからだと理由付けして(合理化)、破局を避けるために謝ることになります。


E『妊娠して、つわりがひどくてご飯が作れないと、夫は舌打ちして外出』
この出来事は、次の2つを思い知らせることにより、夫と妻が対等ではないどころか夫が支配者で妻は奴隷であることを明確にしました。
1.奴隷がどのような状況にあろうが、支配者にはいつも通りのサービスが提供されないことが問題
2.奴隷がどのような状況にあろうが、支配者にとっては、どうでもいいこと

妻は自分が完全に無視されたことに恐怖を覚えながらも、自分が至らないからだと思っています。
(心理メカニズムについては後ほど)
E打つ手を持てなくなった妻は、何とか自分を納得させる理由付けをして、自分の中で問題を解決しようとします。ひたすら自分の気持ちをごまかす日々が続くことになります。

E目標的、意識的、未来志向的なコーピングを手放した妻は、強迫的、無意識的、過去に拘束される防衛機制で自我を守るしかありません。恐怖というストレスから自分を守るために、『自分がいたらないからだと無理矢理自分を納得させる』という「合理化」をしています。
F『「ノロマ!ノロマ!」とはやし立てる子ども』
出かける時間は、身支度のかかる妻に合わせればいいだけの話し(どころか、きれいになってもらって嬉しいと思うでしょう)。それをわざわざ『トロトロ動きやがって!』と罵倒するのは、子どもを洗脳するためです。子どもは無邪気にはやし立てながら、母親がこの家族の中で最下層にいることを肌身で感じていきます。そのうち、子どもは母親の言うことはきかなくなります。自分より下にいる人間だからです。
こうして子どもを味方につけることにより、夫の妻に対する支配権はますます強くなるわけです。
Fハラッサーが子どもに優しいのは、子どもを味方にして妻の包囲網を敷くためです(しかし、その子供も自我を持ち始めると子どもも攻撃の対象になります)。ただでさえ気持ちをごまかす日々が続いて小さくなっている妻は、子どもの前でも堂々と貶め(おとしめ)られ、矜持が奪われていきます。自分ならこれができる、なんとかなるという「自己効力感(セルフエスティーム)」がどんどんなくなっていきます。


F自信、自尊心、矜持を奪うことにより、ストレス耐性が弱体していきます。

G『母「夫婦ならよくあることよ」、友人「あなたにも悪いところがあるんじゃない」』
外面(ソトヅラ)がよいので、ハラッサーの本質を見抜ける人間は、まぁほとんどいません。外面がよいということは、妻を孤立化させるための武器なのです。他意なく単純に外面がいいのではありません。妻を孤立化させ、妻を追い込むために外面はよくしておかなければならないのです。「戦略としての外面」ですので、完璧によい人間を演じることさえできます。
Gついに、自分を支えられなくなって外に助けを求めますが、無理解のためにかえって「2次被害」を受けてしまいます。孤絶感とともに、2次被害に遭いたくないために自閉的になっていきます。D〜Gで、繰り返し学習することにより「学習性無力症」に陥っていきます。
G外から自分を支えてくれる、サポーターが失われます。

H『まだ気づかないのかよ!』
この入り方! まぁ、見事なものです。徹底して相手をバカにするための戦略的な入り方です。
この頃には、もはや相手の尊厳を堂々と踏みにじるようになっています。
H妻の心の中のコップは、もはやストレスで一杯一杯です。コップの水位が上昇するにつれて、イライラしたり、動悸がしたり、汗が出たり、焦燥や絶望を感じたり…心身反応が出てきます。
そのうち、表面張力ギリギリのところで、張り詰めて生きるようになります。そこにポツリと落ちてきた一滴で心のコップの水は一挙にあふれ、「キレ」ます。
こういうときに「事件」が起きるのです。
Hそして、ついに心身にストレス反応が出るようになり、いつ「キレ」てもおかしくない状況に置かれることになります。


いかがでしょうか。
積極的な対処行動の芽はつみ取られ、
自分の気持ちをごまかすことでかろうじて精神バランスをとらざるを得なくなり、
自信、自尊心、矜持を奪われ自己効力感(セルフエスティーム)がなくなり、
外からも孤立し…

這い上がろうともがけば落ちるツマジゴク…


そう、穴の底からツマめがけてパッパッと砂つぶてが飛んできます。
もがいてももがいても引きずり込まれる無力感の中で、人生の底へと沈んでいくのです。


「私なら黙っていない」
「私なら出て行く」
「何故文句を言わないのか」
「そんな気の弱いことでどうする」
等々、言いたくなる気持ちはわかりますが、毎日毎日緊張の中で神経はすり減り、気持ちを揺さぶられ傷つけられ続けるわけです。
どのような自信家でも、ダメージを受けない人はいないでしょう。

その上、「情」というものも絡んできます。
そう簡単ではないことをご理解ください。
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