【ドラマ】 |
【ハラッサーの支配の方法】 |
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@ 課長が、「この企画書目を通してくれるかな。あなたの意見を聞きたいの」 Aさんが、2時間後に意見をまとめて持って行くと、
「あ、あれ。もういいわ。時間がかかりすぎね。もっと早く出してくれないとダメよ。あ〜忙しい。仕事が山積みだわ」
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@まぁ、まともな会社なら、即日意見を聞くなどというアンチョコな指示は出さないでしょう。指示は部下を鍛えるために出すもの。部下も仕事を持っていますし、考察を鍛えるための時間を与えるはずです。そして、意見が出てきたら、それについて検討するだけの時間を考慮しているはずです。
指示を出し→意見が出てきて→それに対してフィードバックする。このキャッチボールをきちんとやって始めて部下は育つし、信頼関係も育つのです。
にもかかわらず、2時間で意見をまとめて持っていくなんて、Aさんは優秀だと思います。ところが見もしないでダメ出し。つまりは、「最初から意見を聞く気なんてない」ということです(←ここがポイント!)。
しかも、このM課長、う〜む、うまいというか、いやらしいというか…実に巧妙にAさんの発言を封じているのです。それはまた後ほど(^^)。
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@は次のように分解されます
「もっと早く意見だしてくれないとダメよ」
→「早くないからペナルティ(罰)」<第1次禁止令>
「あ〜忙しい。仕事が山積みだわ」
→「忙しいから異議申し立てを禁ず」<第2次禁止令>
そう、2つの禁止令(ダブルバインド)のセットですね。
罰を与えたすぐ後で、巧妙に不服を申し立てるチャンスを奪っています。Aさんは、ただ言われっぱなしで黙って去るしかないのです。
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G 「部長に言われて驚いたけど、あなたにパワハラしようだなんてちっとも思ってなかったの。でも、次の人事があるまでは異動できないと思うから、それまでは我慢してね。それに、このことが原因でキャリアに傷がつくのもイヤだし、お互いのためだから、あなたとは会話しないことに決めたから。」
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G極めて巧妙な、ポイントを押さえた発言です。 パワハラでないことを明確に伝え、そう曲解したAさんが悪いと暗に責めています。
それで、次の異動でAさんを飛ばすことを予告し、それまでの間は無視することを宣告したわけです。
これによって、M課長は罪を相手に着せつつ、合法的に無視できる体制を作ったのです。
尚、ここにも極めて巧妙なコミュニケーションの罠が隠されています。
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■Gは次のように分解されます
「次の人事があるまでは異動できない」
→「あなたに逃げ場はない」<第3次禁止令>
「お互いのためだから」 →「異議申し立てを禁ず」<第2次禁止令>
「あなたとは会話しないことに決めたから」 →「会話することを禁ず」<第1次禁止令>
こちらは見事な3点セットですねぇ(--;)。 閉塞状況にあることを伝え、 予め異議申し立てを封じた上で、
会話をしたら罰を与えることを申し渡しています。
まぁ、見事に身動きさせないコミュニケーション術です。これでは、なすすべがありませんね。
特に、「次の人事があるまでは異動できない」という言葉は、現状が閉塞状況であることをわからせると同時に、「次の人事ではとばす」と脅しをかけているわけです。つまり、現在だけではなく先もないよ、と告げているようなもので、ここまでくると、もうやめるしかないかと思うようになるのも無理はありません。
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さて、読まれていて「Aさんも言い返せば良かったのに」と悔しい思いをしているあなた。 なぜ、あそこで言い返さなかったのか、と。
私なら、一矢報いてやるわよ、とか。
しかし、それをさせない巧妙なコミュニケーション術をパワハラM課長は使っていたのです。
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