外国本社から、福岡にカスタマーサービス部門を設置せよという指示が来た。すべきかいなか? |
本ケースでは、現時点での設置(=分散)はデメリットが大きく、サービスの低下につながることが判明しました。その上、外国本社の指示がなくとも、その部門でも組織の成長に合わせて福岡進出の計画を準備していることも分かりました。 また、福岡への設置は、ある個人(A氏)の意向が強く働いていることが分かったため、誰をどう攻めればいいのかターゲットを絞ることができました。 ではなぜ、Aさんが福岡設置を提案したのか。 その背景について話し合う内に、あるコストの問題が存在することが分かりました。 Aさんは、あるいはその背景にいる外国本社は、それを削減すべきコストと捉えていたわけです。 島津は、その業界については素人ですから、なぜそういうことをしているのか(=コストをかけているのか)いろいろと聞いてみました。 「それは、非常に優れたビジネスモデルじゃないですか。日本発グローバルスタンダードになり得る内容ですよ」 島津が率直な感想を言った途端、メンバーは様々な表情を見せました。 不意を撃たれたようにポカンとする者、わが意を得たりというような顔、嬉しいようなくすぐったいような複雑な表情…。 彼らは、当たり前のこととしてやっていたわけです。 当人達にしてみれば、あまりにも当たり前のことであったため、そのビジネスモデルの優れた点に、議論している本人達も気づいていませんでした。 <何とこの会社は、それを生活習慣のように苦もなく当たり前のこととしてやっている。優れた仕事のやり方が、、DNAとして継承されているわけだ。ころこそが、こも会社の本当の強さだ> 島津は、そう思いました。 高いサービス品質を要求される日本では当たり前と思ってやっていたことなのですが、外国本社から見ると過剰なコストと見られたわけです。 しかし、そこをコストとして切り捨てると、同業他社と差別化できるもっとも優れた部分を捨て去ることになってしまいます。 しかも、それはコストではなく、経営戦略上かけるべき重要な経費として転化し得る内容を含んでいました。ディスカバー・ビジネスモデルです。 それに気づいたメンバーは、外国本社に分かるようなビジネスモデルとしてヘッドクォーターに提示することにしました。 本ケースでは、半ばあきらめの中にいたメンバーの気持ちに火がつき、戦略をもって動き始めました。 この間、2時間あまり。 効果的な議論を行えば、わずか2,3時間でもここまで人の気持ちが変わり、そして優れた戦略を提示することが出来ることが証明されたわけです。 |