3.団塊層というボトルネックのソフトランディングへの施策づくりを

 組織の整合性を取り戻しても、まだ問題は残る。
 目標管理制度の骨抜きの問題だ。

「ポリシーに従って経営層から指示が下りてくる。
 市場の生の声をつかんでいる現場は、その意図を理解することができる。
 ところが面倒なことをしたくない中間層が、指示を骨抜きにしてしまうのです。
 こうした中抜きによって、本当に取り組むべき問題への対処ができなくなることが多い。
 そういう実態に気づいている社員は、いくら改革だ、成果主義だと言われても、やる気が出ません。
 制度として上から押しつけるような目標管理も、まったく機能しないことになる」

 この中抜きの張本人になっているのが、多くは団塊層にあたる上級管理職だ。

団塊世代は入社時から大量の同期がいて、縦のヒエラルキーもがっちりと固まっていました。縦にも横にも自分のポジションがよく見えたし、高度成長下なので個と個の連携を取らなくても食べていけた。
 要するに上から与えられた仕事をこなせばよかったのです。
 上意下達が習慣づけられて、自分と同じやり方を下に押しつけてきた。

 それで成功してきたわけです」



 そんな団塊世代の大量リタイアを3年後に控えた今、改革派と抵抗勢力のせめぎ合いが企業社会で起きている。

「多くの団塊層の本音は、会社の改革なんてどうでもいいのです。
 それよりも関心事は、定年後をどう生きるかに移っています。
 もうカウントダウンが始まっているわけですから。

 そこで大事なのは、彼らに改革を背負わせようとしないこと。
 その代わりに、私は具体策として提案したいことがあります。
 それは部下の話を聴くように促すこと。
 それだけで部下の意気は上がり解決に向かう意欲が出ます。

 そのために会社がやることは、団塊世代に聴く力を養う再教育を実施することです。
 つまりリーダーとして期待するのではなく、抵抗勢力として敵対視するのでもない。
 団塊世代のリタイア後も見据えた再教育を通じて、改革を担う人々とつなげていけばいい」

 対立の構図を協働関係に変えていく流れは、著作の中でも描かれている。そんなことが可能なのか?と思う人もいるだろうが、それを誰よりも必要としているのは、当の団塊層であることを忘れてはならない。

 染みついた価値観から抜け出して、新しいステージで第2のスタートを切る瞬間が否応無しに訪れるからだ。

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