| 組織の整合性を取り戻しても、まだ問題は残る。 目標管理制度の骨抜きの問題だ。 「ポリシーに従って経営層から指示が下りてくる。 市場の生の声をつかんでいる現場は、その意図を理解することができる。 ところが面倒なことをしたくない中間層が、指示を骨抜きにしてしまうのです。 こうした中抜きによって、本当に取り組むべき問題への対処ができなくなることが多い。 そういう実態に気づいている社員は、いくら改革だ、成果主義だと言われても、やる気が出ません。 制度として上から押しつけるような目標管理も、まったく機能しないことになる」 この中抜きの張本人になっているのが、多くは団塊層にあたる上級管理職だ。 「団塊世代は入社時から大量の同期がいて、縦のヒエラルキーもがっちりと固まっていました。縦にも横にも自分のポジションがよく見えたし、高度成長下なので個と個の連携を取らなくても食べていけた。 要するに上から与えられた仕事をこなせばよかったのです。 上意下達が習慣づけられて、自分と同じやり方を下に押しつけてきた。 それで成功してきたわけです」 そんな団塊世代の大量リタイアを3年後に控えた今、改革派と抵抗勢力のせめぎ合いが企業社会で起きている。 「多くの団塊層の本音は、会社の改革なんてどうでもいいのです。 それよりも関心事は、定年後をどう生きるかに移っています。 もうカウントダウンが始まっているわけですから。 そこで大事なのは、彼らに改革を背負わせようとしないこと。 その代わりに、私は具体策として提案したいことがあります。 それは部下の話を聴くように促すこと。 それだけで部下の意気は上がり解決に向かう意欲が出ます。 そのために会社がやることは、団塊世代に聴く力を養う再教育を実施することです。 つまりリーダーとして期待するのではなく、抵抗勢力として敵対視するのでもない。 団塊世代のリタイア後も見据えた再教育を通じて、改革を担う人々とつなげていけばいい」 対立の構図を協働関係に変えていく流れは、著作の中でも描かれている。そんなことが可能なのか?と思う人もいるだろうが、それを誰よりも必要としているのは、当の団塊層であることを忘れてはならない。 染みついた価値観から抜け出して、新しいステージで第2のスタートを切る瞬間が否応無しに訪れるからだ。 |