| Y氏のお父さんは、「土地の鬼」と言われました。 空襲の最中、逃げようとする人をつかまえてその土地を買い取り、戦後は宮家解体により金に窮した旧皇族から二束三文でその土地を買い取り…いわば、窮地につけ込み土地を取得していきました。 そして、旧宮家から買い取った土地の後に立てたホテルが、その名も「プリンス」。 「土地の鬼」の“鬼っ子”として生まれたのが、「プリンスホテル」でした。 (*「鬼子=親に似てない子」) 悪名がつくほどの思いをしてまで取得した土地と築き上げた財―それを失わせないことがお父さんの最大の心配となりました。 しかし長男、次男は父親に反発します。妾も作り、鬼であった頃の父親に反発するのは無理からぬこと。しかし、三男Y氏が育つ頃には守りに入っていました。Y氏は父親を尊敬しました。三男の自分に対するロイヤルティ(忠誠心)を見たお父さんは、三男を跡取りにすることに決めます。 Y氏は、「三男」から「プリンス」になりました。 「土地の鬼」のプリンスとして育てられることになったのが、Y氏だったのです。 お父さんは、徹底した教育をします。 「家」と「財」を守るためのノウハウを叩き込んだのです。 いわば管財人を作り上げる教育でした。 Y氏は、子どもに大人と同じ大きさのステーキを出したホテルのシェフを更迭したそうです。父親のしつけの厳しさ、そしてY氏の中に父親が棲んでいることが伺えるエピソードです。 「友を作るな」―これも情け無用に財を成してきたお父さんの絶対指令でした。 その教えの通り、Y氏は財界に友人もいません。 腹心の部下もいません。 関連会社の社長といえど自分の裁量では動けず、Y氏に判をもらうときは膝をついていたそうです。 「全てが一兵卒」―Y氏をよく知るある人物がそう述べていました。 プリンスY氏は、父親の思い半ばのプリンスホテルの拡大に向けて動きます。 その象徴が長野オリンピック。 オリンピックのために開かれた高速を走っていくと、長野の入口にプリンスホテルがあり、そして、その道路の終着地点もまたプリンスホテル…。ある番組が、道路を実際に走って、その印象を伝えていました。 そして、Y氏もプリンスホテルへの思い半ばで逮捕されます…。 (旧宮家の怨念があるのでしょうか…?) |
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