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【1991-2005 JR西日本事件−尼崎脱線・転覆鉄道事故より俯瞰】

11、「日勤教育」の目的

 「日勤教育」の目的は、タブーを身にしみこませることである。
 同時に、見せしめにすることによって組織内に知らしめることである。

 が、人間の感情を持った普通の良心的な運転士は、「安全第一」が行動規範になっているはずだ。つまり、「安全を脅かす行為」はすべてタブーなのである。
 しかし、会社はその「安全」を乗り越えて「効率」を獲得しなければならない。効率とは言い換えればスピードだ。
 安全よりスピードをとれ―が、それを公然ということは倫理に反することである。そこで、組織はからめ手を使ってくる。



 先ず、スピードとは言わずに、時間厳守と言う。
 「時刻を守ることがお客さんの信頼を勝ち得ることである」そう言われれば反論の余地はない。

 しかる後に、その時刻自体を短縮していくのである。スピードアップを図るわけだ。
 しかし、言うことは一つでよい。「時刻を守れ」だ。



 次に、「安全第一」の脳を洗脳しなければならない。
 すべからく洗脳とは理屈を用いない。
 理屈では納得しないからだ。
 何を使うか。

 最も効果があるのは、プライドをズタズタに引き裂くことである。
 その役割を担ったのが、「日勤教育」であった。

 テレビのインタビューを聞いて、私は脱北者が書いた北朝鮮の実態を思い出した。
 同時に、おいそれとついていった新興宗教の寮の中で、そこの指導者の言うことに疑問を口にするだけで周りを取り囲んでいる信者達から「悪魔」とののしられた経験をした友人のことを思い出した(彼は私に相談し、私の後押しで毅然と追い払って以降、まとわりつかなくなった)。

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