| さて、セクハラやパワハラなどの組織内犯罪が日常化してくると、やがてそれは社外にも害を及ぼすようになる。 効率優先で突っ走っているJR西日本は、そのポリシーに反する人間を2001年に自死させた後、翌2002年には消防署の救急隊員を跳ね飛ばして疾走を続けた。 2002年、大阪市淀川区のJR東海道線で、電車にはねられた男子中学生の救助をしていた淀川消防署の救急隊員2人を特急電車がはねた。一人が死亡、一人が重傷を負い、JR西日本の社員三人に有罪判決が言い渡された。 驚いたのは、“救急隊員らそばを電車が通常速度で通過したことが以前からあった”という証言である。 救急隊員がいるにもかかわらず電車を走行させていた―モラルが高い環境にあっては、厳罰必死の行為である。しかし、社内犯罪が日常化している組織においては、モラルが鈍磨してそのリスクを感じることができなかった。 「朱に染まれば赤くなる」−これが、モラルが崩壊した中で日常を過ごすことの怖さなのである。 1987年に民営化されて15年。 JR西日本は、まっさかさまに自壊していったと言ってよいだろう。 山一や三菱自と同じく、15年かけて沈んでいったのである。 いわば、この時既にJR西日本は“死んでいた”のである。 しかし、普通の民間企業と異なり、社会的インフラである“足”であるから、赤字になって倒産ということはない(逆説的であるが、だからこそ「安全第一」で国営でやればよいのだ。私鉄との住み分けをきちんと行うべきであ)。 民間ならば、赤字の憂き目に遭った時に企業体質を変えるチャンスが来る。日産が良い例だ。 しかし、この事件のときも、トカゲの尻尾切がなされただけで、経営幹部の責任は問われなかった。 このように見ると、社会や国の仕組みがJR西日本を正すチャンスは何度も何度もあった。が、それら全てのチャンスは生かされないままに、2005年の大事故を迎えることになる。 |
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