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【1991-2005 JR西日本事件−尼崎脱線・転覆鉄道事故より俯瞰】

21、縛る言葉ではなくパーミッション(許可)を与えよ

「人事異動」の項目も気になった。
「人もコストのうち!」で始まる。この始まり方が、人員配置の硬直化をもたらしている側面がないだろうかと懸念したのだ。

 人員をどう配置するかは企業戦略そのものである。
 必要と認めれば度量を持って人を配置する。不要となれば撤退する。そういうダイナミックな考え方が出来ない管理職が多いように見受けられる。人員増を招くことを恐れる余り、どれだけの改革が頓挫し、またどれだけの商機を失ったか。

「人もコストのうち!」と、初っぱなを叩かれると、せいぜい合理化しか思いつかないような後ろ向きの精神構造となる。尻すぼみの発想しか生まれず、ダイナミズムが生まれない。

 組織は常に変化している、だからこそ人員配置は戦略であり、然るべき時は思い切ってシフトせよ、何を選択し何を行わないかという目を常に持て、という観点を入れる必要がある。場合によっては、BPRのために増員をする必要もあるからだ。

 そこで、「人の配置は戦略」という最も本質的な観点を一番最初に持ってくるよう提言した。人件費のウエイトはせいぜい歯止めとしてもってくればよい。
 これもまた、心理的なパーミッションを与えることである。
 許可が与えられるだけで、発想は非常に自由に柔軟になる。
 


「能力開発制度」の項についても時代に見合うよう変更をお願いした。
 基本的には上司が部下の能力を開発するという立場でよいのだが、次のような観点も必要である。

 規制緩和などにより法規制や商環境は急速に変化しており、過去の仕事のやり方が通用しなくなっている。内部でもBPRやアウトソーシングなど組織や職務がめまぐるしく変化している。つまり、上司自身がその変化についていくのが精一杯という状況にあるわけだ。

 また、高学歴専門家集団が増えてくる。それらの集団は個々人が異なる方法論を持った異質な集団と言って良い。既に方法論を持った人間にある一つの方法を押し付けようとすると、その人は死んでしまう。つまり、画一的な “能力開発”は組織の活性を奪うだけなのだ。



 では、どのように運用を変えるか。
 管理職が指導・インセンティブづけを行うというよりも、管理職が部下の能力を発見するという位置づけに重点をシフトすることを提言したのである。

 部下の側から言えば、能力開発制度の基となる自己申告=自分の実績のPRの場である。ものを書くという事が、自分の考え・やり方・実績を会社に認知させ評価につながるという事、良ければ横展開され、それにより皆のレベルが上がること、それは会社の財産になるということ、そう理解されれば、インセンティブづけになり誰しも自ら書くようになるだろう。

 つまり、管理職を“指導・開発”という脅迫観念から解放し、同時に部下のモチベーションをアップさせる、そういう制度に運用を変えるよう提言したのである。

 文としては、「部下の能力を(開発するというよりも、)会社のためにどう活かせるか発見せよ」と書けばよい。
 これによって、心理学的に言えば「管理職も部下から学んで良い」という許可を与えることになる。“発見”のためには、部下からいろいろと聞かなくてはならないからだ。



 このように、組織を活性化させるためには、縛る文章ではなく思考の柔軟性を高めるために、戦略的に、自由に考えてよいというパーミッション(許可)を与える文章を最初に入れたほうが良い。

 そして、その上に来るもの。何があっても犯すべからざるタブー。それが「安全」なのである。

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