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【1991-2005 JR西日本事件−尼崎脱線・転覆鉄道事故より俯瞰】

24、組合はシンボルとなった2名を守れ

 新聞や報道では、JR社員の事務的で冷たい対応について非難の声が上がっている。5月4日。脱線車両にJR社員が2名いて事故後、救出活動せずに通常勤務についていたことが、信じられないというコメントとともに報じられていた。
 JRの冷たい対応のシンボルのような扱われ方だった。

 確かに非常識な行動に思える。
 しかし、非常識に思える行動の後ろには、必ず何らかの背景があると思うのだ。
 27歳と59歳のベテランの2名。その2名が2名とも一目算に職場に向かった。その行動のウラには、何があっても職場に向かわせる状況が働いているのではないだろうか。

 新聞では、「気が動転していた」と書かれている。JRがそう延べたのだと思うが、仮に気が動転していたとすれば、そのような時ほど、自分を無意識の内に厳しく縛っているもの、自分を駆り立てているもの、つまり「ドライバー」に突き動かされるものである。

 向かっているのは自宅ではない。会社だ。しかも、あのような目に合いながら勤務のために。何より、受け入れた職場が、つまりJRがそのまま勤務につかせているのだ。
 つまり、そこには、何があっても「定刻」運行に“穴”をあけない。「定刻厳守」の金科玉条がJRの社員全員を覆っているように思う。



 ここでも、“タブー”ということの意味がよくわかると思う。
「遅刻厳禁」というタブーは、無条件に守るべきもの、つまり、何があっても第一に優先されるべきものなのである。私が感じるのは、「遅刻厳禁」という“思想統制”が職場の隅々にまで行き渡っている様相である。

 世間から見ればその行動は異常に思える。しかし、内部にいる人間達は、その行動を淡々と受け入れている。つまり、内部にいる人間から見れば、非常識でも異常でもない行動なのである。「会社の常識は世間の非常識」とよく言われることだが、大なり小なり、このような思想統制はいろんな会社で見られるところだ(こちらの例も見てほしい)。



 皆に知ってほしいことは、タブー(絶対禁忌)を作り、見せしめを作ってそれを強制することは、イコール軍隊を作ることだということである。軍隊は、自分の任務、自分に与えられた役割以外のことに目を向けてはいけない。何があってもである。

 JR西日本は、今や完全に軍隊となっているように思う。
 JR西日本は、「定刻厳守」を錦の御旗にして社員を追いたて、私鉄、バス、航空4つ巴の激戦区を蹂躙するように勝ち抜いていったのだ。
 勝てば官軍、勝ち馬に乗った利用者にも非があると思う。



 私は、「この2名を処分しないのか」と安易に質問する記者に危惧を覚える。
 彼らに罪はない。

 むしろ、彼らを処分することで、JRはけりをつけることができる。
 処分された段階で追及の手は止まる。
 つまり、処分することによって、JRの体質は温存されることになるのだ。

 私は、むしろ、この2名を守れと組合に言いたい。
 この2名の仲間を守りとおすために会社と対決することが、経営の本質を暴いていくことになるであろう。なぜ、この2名を守るのか、それを説明することが、取りも直さず会社の体質を暴くことになるからだ。

 闘うためには、シンボルが必要である。
 会社の体質を表現するシンボルであり、世間からも注目されている。
 この2名はシンボルである。

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