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【1991-2005 JR西日本事件−尼崎脱線・転覆鉄道事故より俯瞰】

3、軌道変更に現れたJR西日本のポリシー(真因)

 考えてみよう。
 最初に線路が敷設された時点で「安全は確保」されているはずである。
 それをわざわざ変えるのは、変えるべき別の理由がある。

 それは、尼崎駅にスムーズに接続して輸送を効率化するためであった。
 スピードアップが集客につながる。
 そのポリシーの下、「スピードの確保」のためにわざわざ軌道を変えたのである。

 JR西日本は、「安全軌道」を捨て「高速軌道」に変えた。
 JR西日本は、「安全」よりも「効率」を上位においたのだ。



 すべての企業が、まして人の命に直接かかわる企業ならば絶対基準として第一に置かなければならない「安全」。
 国鉄から民営化されたJRは、その「安全」の看板を下ろし「効率」にかけかえたのである。
 ここに民営化することの一つの怖さがあることを私たちは認識しなければならない。

 ここで、民間にしたのが悪いのではなく、安全の看板を下ろしたJR西日本が悪いのだと言う意見も出てくるだろう。しかし、得てして競争の渦中に投げ込まれた場合におろそかになりがちなのが「安全」なのである。

 金を出せばよりよいサービスが受けられる。そういう類の職種は民間に任せればよい。
 しかし、この国に住む上で老若男女を問わず公平にサービスを受けてしかるべきもの、つまり、社会や生活のインフラにかかわる部分は、国が税金でやるべきだというのが私の基本的考えである。

 特に、安全を守り、安心を提供するのが国の行うべき最大の仕事だと思っている。
 犯罪撲滅も、信用の上にはじめて成り立つ経済を守るために詐欺行為などを取り締まることも、世界平和のために外交することも、すべての目的は「安全を守り、安心を提供する」という一つのポリシーのためでなければならない。
 国がそのポリシーを捨て去った時、その社会は崩壊する。



 軌道変更は結果に過ぎない。
 仮に、その危険な軌道を設計した担当者を責めても意味がない。
 その結果をもたらしたものは、その奥にある考え方、つまり、効率最優先というポリシーなのである。

 すべてのルールや仕組み、人事評価に至るまで、システムはポリシーに則って作られていく。民営化したことの是非を今はおくとしても、真の原因は、安全を捨て去ったこのポリシー自体にある。

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