■組織活性度とモラル

3、環境が人と犯罪の距離を近づけたり遠ざけたりする

 さて、システムズアプローチの見方を身につけると、たとえばセクハラを起こした問題社員はIP(Index Person)であることが分かります。
 もちろん、その個人の罪は厳しく問わなければなりません。しかし、その問題を起こした社員のみを罰しておしまいにしてしまうと、その事件の背景にある組織風土の問題は手付かずで残されたままになります。

 繰り返し繰り返し不祥事を起こす企業は、その都度トカゲの尻尾切りのように事件の当事者を切り捨てることによって、問題が発生する土壌を温存し続けているわけです。
 見える範囲で白黒のけりをつけるということは、けりをつけた時点で、問題の本質に直面化する面倒をも切り捨てているのです。



 事件が起きた時が、立ち直るきっかけです。
 事件を起こした社員は、その企業に問題がある事を教えてくれる存在です。その事件を機に組織風土の問題にメスを入れれば、第二、第三の加害者及び被害者を出さずにすむわけです。
 それを無視して放置していると、その組織のモラルは下がり続け、世間の常識とどんどん乖離していきます。

 怖いのは、その組織の価値観に染まっていると世間との乖離に気づかないということです。やがて、会社の常識は世間の非常識と言われる地点を過ぎ、無自覚に企業犯罪と言われる部分に踏み込んでいきます。そして、気がつくのは、世間に迷惑をかけ社会から組織自体が抹殺される時なのです。



人を消耗品として扱う組織に、パワハラやセクハラがいとも簡単に発生します。
(人を消耗品として扱う戦争では、特攻命令や強姦がいとも簡単になされます)

企業犯罪の背景には、そもそも社員全員が大事にされていない企業風土があるのです。
(戦争犯罪の背景には、そもそも国民全員が大事にされていない社会風土があるのです)

 こうしてみると、モラルの高い環境では明確に“犯罪”となることも、モラルの低下した環境では”犯罪”までの距離が近くなり、モラルが崩壊すればミソもクソも一緒になってしまうことが分かると思います。
 環境が、ヒトと犯罪との距離を近づけたり遠ざけたりしているわけです。


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