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■上司に恵まれないSEのために−自分戦略策定マガジン この前に紹介させていただきました「上司に恵まれないSEのために−自分戦略策定マガジン」というメルマガで2週連続で取り上げられていました(2003.12.24)。感謝感謝です。 メルマガのご登録は、こちら→まぐまぐ |
| 上司に恵まれないSEのために−自分戦略策定マガジン> [No.031]「自分戦略」と「あきらめの壁」(2003.12.24) ●今年一番のお薦め本 今回も前回に引き続いて、小説「あきらめの壁をぶち破った人々」を題材にします。 この本は、私が今年読んだ中で一番のお薦め本です。 「あきらめの壁をぶち破った人々」 http://homepage3.nifty.com/mentorpin/book/book_0015.htm ※前回のメルマガを読んでいない方は、まず前回のメルマガをお読み下さい。 [No.030]「あきらめの壁」をぶち破れ! http://homepage3.nifty.com/mentorpin/malmaga/maga_SEST_0030.htm 前回はプロジェクトマネジメントの観点から、この本を紹介しました。 今回は組織の観点から述べたいと思います。 この小説の中には数々の問題上司が登場することは前回のメルマガでもお伝えしました。 問題上司の類型はいくつかありますが、この小説には、「お神輿型」(無能型)と「軍隊型」(パワーハラスメント型)の代表的な問題上司が登場します ●無能型上司 まずは「お神輿型」(無能型)の上司です。 この小説の中ではプロジェクト責任者である柳田部長が、このタイプです。 柳田部長は組織内に問題があっても、それをなかなか明確に認めようとはしません。 明確に認めると何か対策を打たねばならないからです。 また、何を優先して進めるかと言う経営的な判断をするべき時に、その決断をせず個人の裁量で対処するように指示します。 (当人には自分がなすべき経営的な判断から逃げているという意識すらありません。決断をしない体質に染まりきっているからです。) 主人公の島津はこれに対して、「上が下に無理難題を押し付ければ、下はしたたかに無化する。経営者が決断責任から逃げるのであれば、下も実行責任から逃げる。」と述べ、この集団無責任体制こそが現在の日本経済停滞の元凶であると指摘します。 またこれが、日本に優秀な経営者が育たない原因であるとしています。 私たちの周りでも似たようなことは、たくさんありますね。 経営者や事業責任者は、営業が安易にとってきた仕事を、プロジェクトマネージャに押し付け、プロジェクトマネージャはメンバーに丸投げし、メンバーはさらに協力会社に任せっぱなしにします。 このような行動様式を持つ組織においては、問題の所在を個人に求めます。 そうすると失敗や問題は正しく分析されず、知恵やノウハウは共有されることがないので、組織にナレッジが蓄積されません。 このような企業風土を持つ組織は、だんだんと組織自体が無能化していきます。 「学習せざる組織」となるのです。 【参考までに】 なぜ昇格すると人は無能になるのかについては、以下のバックナッバーをご参照下さい。 [No.023]上司について考える(1) ピーターの法則 http://homepage3.nifty.com/mentorpin/malmaga/maga_SEST_0023.htm ●パワーハラスメント型上司 この小説の中で、主人公の最も大きな障害となるのが直属の上司である岩田次長です。 やり手営業マンであったこの人物は典型的なパワーハラスメント型上司で、部下は自分の手足としか考えていません。 このような上司にとっては、主人公のような人間は、自分勝手に振舞う反逆者以外の何者でもありません。 岩田は、自分の下で徹底的に鍛えてやるとばかりに、主人公の言動のすべてを否定し叱責します。 (本人はイジメのつもりは毛頭なく、部下に対する正しい教育方法だと信じています。) 程度の差はあれ、このような上司はどこの会社にもいると思います。 この手のタイプは行動力があって高い業績を残している自信家に多いように感じます。 自信も行き過ぎると傲慢に変わります。自分自身の価値観を一方的に押し付けて、部下を枠にはめようとします。 また、この手の上司は働くことの目的を間違えている人が多いと思います。 本来、企業や団体は何らかのビジョンや目的を達成するために組織を形成します。つまり組織というのは手段に過ぎません。 ところが、パワーハラスメント型上司は、自分自身が崇め奉られるためのポジションを築き上げること目的としています。 (本人はそれすら気がついてないケースが大半ですが) つまり本来手段であるはずの組織構築が目的化しているのです。 このような上司は極めて危険な存在です。権力も能力もあるので、このような上司に対して部下がリーダーシップを発揮するのは、それなりの覚悟が必要です。 【参考までに】 有能な人材が問題上司になってしまうケースについては、以下のバックナンッバーをご参照下さい。 [No.024]上司について考える(2) ディレールメント http://homepage3.nifty.com/mentorpin/malmaga/maga_SEST_0024.htm ●島津の強さの秘密 主人公の島津は、岩田のパワーハラスメントにも自分を見失うことなく、岩田という壁を乗り越えてプロジェクトを推進します。 プロジェクトの仲間達が、主人公に対して、どうしたらそのように強くなれるのかを問うシーンがあります。 主人公は、人間が強くなるためには経験が必要で、その経験には二通りあると述べます。 その二つとは、「受動的な経験」と「能動的な経験」です。 「受動的な経験」とは、経験により免疫ができるケースです。 例えば、パワーハラスメント上司の下で働けば、ごく自然に耐性が身に付くということです。 しかし、「受動的な経験」だけでは打って出る強さ(真の強さ)は身に付きません。 主人公は、打って出る強さは主体的な行動とフィードバックにより身に付くものだと説明しています。 自ら能動的に起こした行動に対してフィードバックを得て、次にとる行動を変えていくのが生物の基本だと述べます。 フィードバックは周りの評価や反応です。 ただし一つの組織の中だけでフィードバックを受けても強くはなれないと、主人公は説明します。 会社に限らず組織には一つのモノサシしかないので、会社の組織に縛られている限りは会社に対して依存しており強気にはなれないからです。 主人公は、会社以外の複数の組織に所属することが必要であると説明します。 違ったモノサシに接することで自分のいろいろな側面が見えてきて、自分自身を立体的に取り戻すことができるからです。 私はこの主人公の発言に深く共感しました。 なぜなら、それは私自身の実体験でもあるからです。 私は、PM推進団体や中小企業経営者が集まる異業種交流会等、分野の異なる複数の組織に所属しています。 正直なところ、この本を読むまでは自覚していなかったのですが、それぞれの組織での様々なモノサシよるフィードバックは、確かに自分自身を立体的に取り戻す効果があります。 そして主人公は、自分自身を取り戻したら、次は自分の時間をどこに使うかを自分自身で決定する必要があるとしています。 この主人公の発言内容は、まさに「自分戦略」の実践です。 言い換えれば、主人公の強さの秘密は、「自分戦略」を持っていることにあったと言えるのです。 【ご参考までに】 会社以外の組織に属することは、以下のバックナンバーで、私もお勧めしています。 [No.012]自分戦略策定の最終ステップ http://homepage3.nifty.com/mentorpin/malmaga/maga_SEST_0012.htm [No.016]メンターを探せ! http://homepage3.nifty.com/mentorpin/malmaga/maga_SEST_0016.htm ●システムズアプローチ この本の中で、印象に残った主人公の考え方を、最後に一つ紹介します。 それは「システムズアプローチ」という考え方です。 これは家庭療法の基本概念だそうです。 カウンセリングを学んでおり家庭相談士でもある主人公は企業組織を「システムズアプローチ」の観点で分析しています。 「システムズアプローチ」では、家族や組織を一つのシステムとして見なします。 もしそこに問題児が現れた場合は、その個人を「指標となる人」として捉えます。 あたかも炭鉱のカナリアのように、システムに問題がある場合は、そのシステムの中で最も弱いところに現象が現れると考えるからです。 個人にだけ焦点をあてて、その個人だけを治療しても問題は解決しません。 健全な人間同士であってもその関係性によって問題や症状が現れるからです。 主人公は、問題の発生を個人だけの原因に帰しても、組織というシステムを変えない限り同様の問題が発生するとを考えています。 組織を一つのシステムとして捉える考え方は、プロジェクト運営や問題分析・解決(ソリューション)にとって非常に有効な考え方だと思いました。 いつかこの考え方を、このメルマガで深く掘り下げてみたいと思います。 |