ガ
イア
か
らの
自律


3、干からびる大地(廃熱・廃物)


 「生産」と「消費」しか考えられない一神教型の直線的な西洋文明の価値観が日本を覆い、農業においても堆肥を捨て去った時、日本人はバクテリア(分解者)を活かす循環型の知恵をも捨て去りました。
 日本人の社会、文化の中に息づいていた「分解者」(第一に重要な生産者)はその位置づけを剥奪され、なきものにされてしまったのです。

 日本社会は、世界の工場として大量生産、そして大量消費にまい進します。
 工業には、莫大な水が必要です。
 精密工業には綺麗な水が必要です(静岡地区に優秀な工場が多いのも、富士山の綺麗な湧水が大量にあったからでしょう)。
 工場は大量に地下水を汲み上げ、地下水枯れによる地盤沈下を起こしています(富士山の湧水も枯れかかっています)。



 使用後のエントロピーの増大した水(温排水)は、川を通じて海に排出され水質を汚染します。
 住宅は水洗完備され、大量の糞尿は大地に還元されるこなく、生活排水とともに海に排出されます。富栄養となった水は赤潮などを発生させ、魚を窒息させます。
 残飯も大地に還元されることなく焼却処理され温暖化に一役買っています。

 かつて人の体温程度のエントロピー(廃熱)の増大で見事にリサイクルされていた生態系は、莫大な熱を放出しつつもリサイクルされない仕組みの中で循環が途切れ、その閉塞空間の中で急速にエントロピー(廃物・廃熱)が蓄積され始めました。



 で、どうしたか。
 廃物を捨て始めました。

 至る所にゴミ捨て場が作られ、山林に不法投棄がなされ、地下に埋められ、無人島をゴミの島に変え、しまいには、外国にまで捨てに行き国際的に顰蹙を買いました。
 地球のきれいなきれいな動脈血である深海に沈めるという計画もあります。
 
 人間が自分のやったことの後始末をできないでいるわけです。
 とても、自律した文明とは言えません。
 堆肥文明の方がよほど自律していたといえるでしょう。

 そして、投棄したゴミは地下水を汚染し、土壌を汚染し、海を汚染しています。
 人類は、自然に甘えて依存しているだけではなく、侵しているのです。
 


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水・土・空気が命の綱
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